第6回
中華料理『金竜本店』 南大塚3丁目42番7号
 店の前はゆるやかな坂になっている。車二台が裕にすれ違うことのできる広さがあり、一方通行にもなっていて、酔った人の足でも歩きやすい道である。南口大通りからは100mほど、坂を登りきる手前にその店はある。(場所;HP上マップ参照
 六年前に改装されたという店内は、外観と同じように木目調に造られ、やわらかな照明が使われていて、お洒落で落ち着いた雰囲気になっている。店の中には、厨房前にカウンター席があり、テーブル席が三席、団体向けの座敷が一つある。
 いつものように最初はビールに合うもの。メニューの中よりつまみを探す。まずは創業当時から味も形も変わらないという「餃子」。「ゴマ餃子」「しそ餃子」「にんにく餃子」とあり、その中から「ゴマ餃子」を頼んでみる。一人前で3個だが、一つが7〜8センチもあり、かなり大きい。皮が厚めでモチモチしていて、すりゴマのいい香りがする。「エビチリ」はプリプリして甘く、辛さが控えめで、ソースも残さず食べられる。出された瞬間、ニンニクの香ばしい香りが拡がる「砂肝のにんにく炒め」。食べれば、ふと童心に帰ることのできる「玉子ときくらげ炒め」は、玉子のふわふわとした感じがたまらない。「鳥のから揚げ」はジューシーで肉厚。コショーと山椒の効いた塩との相性は抜群である。パリッとした食感が名前どおりの「パリパリ春巻き」、「エリンギのバター炒め」、歯ごたえのある「豚肉とにんにくの芽炒め」もおいしい。すべてに共通して言えるのは、中華とは思えぬほど油のしつこさがなく、あっさりとした味である。健康志向の人に良く合う。胃にやさしい。それでいて、うす味の透明感の奥には、食材本来の旨味を生かしたおいしさがある。
 紹興酒などもいただき、酔いもまわったところで、ごはんものを頼む。仲間で「焼きそば」を分け合い食べてみる。あっさりとしているが、塩加減が絶妙で、食べれば食べるほど味わい深い旨さが伝わる。
 ふとカウンター越しに厨房を見ると、奥さんが一生懸命に中華鍋を振り、娘さんが配膳と接客に追われている事に気が付く。働く人の姿は本当に美しい、と素直に思えた。
旨いものをご馳走になった感謝の気持ちと、余計なお世話かもしれないが、そんなお二人を見守る心で一句。
 最後に「金竜ラーメン」を食べてみた。鶏がらベースの醤油味で、いわゆる「東京ラーメン」と呼ばれるものの一つだろう。生まれて初めて食べたラーメンと同じに思えた。
 懐かしい感動に出会えた。満腹にもなった。
 麺類は大盛りも中盛りも同じ料金だという。
 人の食べる事への喜びを知り、思いやりの心を持つ店だと思った。季節のせいか外はまだ寒い。しかし身も心もこころなし温かく感じ、坂を下りる家路についた。
母と娘の
やさしい味は
華となり
中華料理『金竜本店』
東京都豊島区南大塚3-42-7
電話:03-3981-1502